浦崎さんが、UnknownAsiaで発表予定の新作シリーズ「君は荒波の中に光を見たか」。
彼が捉えたのは、日の出直前からのわずか5分間、激しい荒波だけが作り出す劇的な瞬間です。その制作背景をインタビューで伺いました。
荒波との初めての出会い
「荒波と聞くと、どんなイメージを持ちますか?」という問いに、浦崎さんは「恐怖」と即答しました。その感覚の原点は、高校時代、冬の日本海を初めて見たときにあると語ります。
「青春18きっぷで山陰線を旅していたとき、低気圧の影響で波が道路にまで押し寄せていました。怖かったけれど、同時にその力強さに圧倒されました。」
彼にとって、荒波は単なる恐怖の象徴ではなく、その奥に何かを感じ取れる存在。今回のシリーズは、そうした自然との体験を凝縮しようとする試みです。
日の出5分間の狙い
浦崎さんの新作は、丹後半島の浜辺で撮影されました。日の出直前から始まるわずかな時間帯で、激しく動く波の中に差し込む光を捉えたものです。この時間帯に集中する理由を、彼はこう説明しました。
「日の出の5分間は、波が最もドラマチックに動き、光と闇が交錯する瞬間です。その短い時間にすべてを捉えようとすると、自然との緊張感が高まるんです。」
波が立ち上がる力強さと、光が差し込む刹那の美しさ。これらが作品に一体となって現れています。
恐怖と向き合う撮影
荒波を撮影する中で、恐怖をどう乗り越えたのかを尋ねると、浦崎さんは「その恐怖がむしろ撮影の原動力になる」と語ります。
「自然の圧倒的なエネルギーを感じると、自分が生きている実感が湧いてきます。そのエネルギーを写真に込めることで、見てくれる人に伝えたいんです。」
彼の撮影は、恐怖に挑みながらも自然のエネルギーを受け取り、それを写真という形に変える行為そのものだったようです。
UnknownAsiaでの展示に向けて
UnknownAsiaでは、この作品をどのように届けたいのかを伺うと、浦崎さんは「見る人に自分自身の感覚を重ねてもらいたい」と話しました。
「荒波は自然の力そのものですが、それを見た人が何を感じるかはそれぞれです。波の中に光を見つける瞬間を通じて、人生の中での光や希望を感じ取ってもらえたら嬉しいです。」
展示では、撮影された波が時間軸に沿って並び、光と波のドラマを追体験できる構成を予定しています。
結びに
「君は荒波の中に光を見たか」というタイトルには、浦崎さん自身が感じた自然への問いと挑戦が込められています。この作品を通じて、観る者が何を見出すのか。UnknownAsiaの会場で、ぜひその一瞬を体験してください。
インタビュアー:山田勇人